今号の特集「Minimalismを極める 第4回」では、「インプラント治療におけるMinimalismの実践Part 2」と題して、インプラントシステムやインプラント体のデザイン、上部構造ならびに補綴パーツなどを選択する際の指針を解説していただいています。
まず「インプラントシステムの選択」についてチェアサイドの観点から名護太志先生(沖縄県)に、そしてラボサイドの観点から新井達哉先生(東京都)に解説いただき、「骨質・骨量から見たインプラントの選択基準」では倉田友宏先生(長野県)から「骨質に応じたドリリングの考え方」について、松岡大輝先生(埼玉県)からは「骨量によるインプラントの選択基準」について解説いただきました。各社のインプラントシステムが主導する治療プロトコルに従っているだけではMinimalismに基づいた治療は実践できません。本特集の内容は、Minimalismに基づいたインプラント治療を実践するための肝となる部分です。是非とも参考にしてインプラント埋入計画や治療計画などを再考してみてください。
溝上宗久先生(福岡県)からは「FINESIA Reliosを用いた臼歯部抜歯即時埋入」として、歯周組織とインプラント周囲組織の違いを整理し、臼歯部の抜歯即時埋入によってインプラント周囲軟組織がどのように変化し、その変化に対してどのように対処すべきかについて、即時修復とは異なったアプローチで解説いただいています。
前田 貢先生(東京都)からは、審美領域のインプラント治療戦略(連載)における臨床編「審美エリア単独歯欠損へのインプラント治療」の第一段として、上顎中切歯への抜歯即時埋入・即時修復の症例を解説いただきました。即時修復に用いるプロビジョナルレストレーションの形態がインプラント周囲粘膜をどのようにコントロールして、さらには歯肉縁形態をどのようにデザインしていくかをバイオロジーの観点も交えながら解説いただいています。
新連載の「エビデンスにはとらわれない臨床経験から紐解くインプラント治療の疑問」は、覚本嘉美先生(栃木県)、八木原淳史先生(茨城県)らのグループが、インプラント臨床で遭遇する様々な疑問に対して、論文や臨床報告などのエビデンスだけでなく、実際の臨床経験や臨床実感を基に見解を述べていくというシリーズです。今回は、「パノラマX線画像診断は本当に必要?」「非適応症はどう見極める?」「Osseointegrationどうやって評価するの?」の3つの疑問に答えていただいています。エビデンスとして扱われてきたものも時代とともに変化していきます。また、海外の文献などではどうしても日本人の口腔内と異なった環境であったりします。国内の臨床で培った経験を基にした見解は、読者の先生方の臨床にもきっと役立つものだと考えています。
岡野諒太郎先生(大阪府)からは、林揚春先生(東京都)らが提唱する第5世代のインプラント治療(Minimalism)を継承する若手歯科医師として「上下顎大臼歯部抜歯即時埋入」を報告していただきました。豊富な臨床写真を用いて手術手順を詳細に解説していただいていますので大いに参考になると思います。
鈴木光雄先生(東京都)と浜田信城 教授(神奈川歯科大学分子生物学講座 口腔細菌学分野)からは、「歯周病、Peri-implantitisに対する静菌療法」と題して歯周病菌とその作用や歯周病菌と歯周病の成立機序、そしてそれらが全身疾患やインプラント周囲炎にどのように関係しているのかを紐解き、歯周病菌に対する対処方法などを提唱いただきました。
今号の誌面の多くは抜歯即時埋入に関連する内容で、その目的は低侵襲で短期間のインプラント治療への理解です。これからもMinimalismに基づいたインプラント治療を広く普及させるための有益な情報を発信できるように努めていきたいと思います。