一つの節目となる100号の特集は「Minimalism インプラント治療におけるミニマリズムの必要性」として林揚春先生(東京都)にお願いしました。インプラントジャーナルが100号まで続いてきたのは、創刊直後から林先生によるインプラント臨床の新たなトピックスを常に報告できたことも大きいのではないかと感謝しています。
林先生は、GBRが注目を集めていた時代からメンブレンを用いない骨再生のためのインプラントのポジショニングや、低侵襲で短期間治療のための抜歯即時埋入の有効性、さらに抜歯即時埋入における審美補綴を考慮したインプラントのポジショニングなども提唱されてきました。このように常に患者さんの負担を軽減させるインプラント治療を実践してきた林先生の集大成が「Minimalism」を考慮したインプラント治療です。外科的侵襲の低減や治療期間の短縮ばかりでなく、処置の回数を減らすことで歯科生体材料などの費用も抑え、インプラントの治療費も軽減させることが、高齢化が進む現在の日本において重要だと説かれ、そのために必要な治療方針や臨床上のテクニックが症例とともに解説されています。外側性に大きく骨を造ったり、軟組織を移植したりする従来のインプラント治療をすべて否定するわけではありませんが、「インプラントは怖い、痛い、腫れる、時間がかかる、高い」と考えている潜在的な患者さんが多いことも事実です。そのような患者さんのデメリットを解決するためにも、そろそろ「Minimalism」の考え方に基づいたインプラント治療がスタンダードになることを願っています。